さよりは低脂肪・高蛋白+ビタミンC。そして甘い。
そろそろ、さよりが旬の時期になりました。
さよりは一般的に早春の魚というイメージがあります。
実際は秋から初夏にかけて漁獲されていますが、春先から産卵のために藻場に集まるので漁獲量が増えるようです。
都内のなじみの寿司屋さんだと、2月頃から徐々に扱いが増えてきます。
生で良し、火を通しても良しで、刺身、酢の物、碗種、干物、焼き物に天ぷらと、色んな料理に適しており、淡白でさっぱりとした味わいで、高級魚の部類とされています。その反面、栄養価には期待するなと言われますが、魚には珍しくビタミンCを含んでおり、低脂肪で高蛋白というほかの魚には無い良さがあります。
火を通した調理方法では分からなくなりますが、刺身で食べるとさっぱりした味わいの中に甘味を感じます。
くせが無い味なので、刺身があまり得意ではない方でも食べられるのではないでしょうか。
さて。
石川県もさよりのおもな産地のひとつですなのですが、奥能登では、さよりのことをスズと呼びます。
なので、私の場合、スズとさよりの名前が一致したのは、実家を離れた後のことでした。
小さい頃、海岸へ散歩に行くと、川から海につながる汽水域あたりの浅瀬で、小ぶりのスズが小さい群れを作ってキラキラ光りながら泳いでいました。
ある時、母に「これ、釣れるかな?」と聞くと、「小さいから無理やろ。」と言う返事。
それならということで、「網ですくえんかな?」と聞くと、「細いから網にかからんやろ。」
...今から思うと、母はスズにはまったく興味が無かったようです。
そういえば、なぜか実家ではあまり食卓に上らなかったですね。
やっぱり、「大して興味なし」な扱いだったような...。
子供の頃は、母がサッパリ系の出汁をとるときに、さよりの干物を軽く炙って使っているのを見たことがあります。(干物と言っても開きではなくて、ワタと頭をとって乾燥し過ぎない程度に干したもので、そのまま焼いて食べるようなものです。)
出汁をとった後は、たぶん捨てていたのではないかと思います。
それ以外では、今日は面倒だからあるものだけで適当に昼を済まそうというときに、「あ、そういえばスズ(の干したもの)があったから、それでも焼くか?(こんなものでも無いよりはいいかというニュアンス)」ということが1,2回あったような気がします。
全然、高級魚あつかいはされていなかったですね。どちらかと言うとザコあつかい。
思えば、母に限らず実家全体がそうだったように思います。
実家を離れた私が帰省した際に、父から「今日、刺身は何が食べたい?」と聞かれたので「さより」と答えたら、「へぇ~、さよりか。ということはスズやなぁ。」と。なんというか、言外に「スズねぇ、ほかに美味い魚があるだろうに。」という雰囲気。まあ、でもリクエストには答えてくれましたが。その日の食卓には、スズのほかにフクラギとイカの刺身がならんでいました。
それで真っ先にスズの刺身を食べましたが、やっぱりほのかに甘くてサッパリしていて、美味しかったです。
父の感想を聞きたくて、「さよりの刺身は甘みがあって美味いねぇ。」と振ってみたところ、「うん。たまには悪くないな。」と言っていました。
私の実家では、さよりは優先度の低い魚だったかもしれませんが、私はこの時期に寿司屋にいったりすると、さよりがあるか聞いて、あれば必ず刺身にしてもらいます。店によっては、余りもののさよりの皮を串にくるくる巻きつけて、炙ったものをつまみで出してくれますが、これがまた日本酒のつまみに良く合うんですよ。
つまみと言えば、さよりの骨せんべいも捨てがたいですね。
さよりは、外見はスマートできれいだし、頭と内臓以外は捨てるところなしのなかなかに「愛いやつ」です。
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