天然・手摘みの希少品 珠洲の岩海苔
公開日: : 食べ物・飲み物
同じ能登の岩海苔でも、輪島の方では海苔畑で収穫しているようですが、珠洲の岩海苔は人口の海苔畑ではなく、荒波に洗われる岩に生えた天然の海苔をおばあちゃん達が手で摘んでいます。
もちろん、海が荒れると取りに行けません。
自分は小さい時にアオサ取りを経験しているのですが、海草が生えた岩の上というのは、ものすごく滑りやすいんです。
また、磯遊びの経験がある方にはお分かりでしょうが、岩場にばかり目をやっていると、突然大きな波がやって来たりします。
真冬の海で命綱がある訳でもなく、吹きさらしの岩場で冷たい海風と雪に晒されながら、打ち寄せる荒波の合間をぬって、滑りやすい岩場の上で腰をかがめて作業する。岩海苔取りとは、そんな過酷な作業です。
足を滑らせたり波にのまれたりで、不幸にも亡くなられる方もおられるほど危険な作業ですが、元々は冬場の家計の収入を補うため、芯の強い能登のお母さんたちが危険を顧みずに黙々と続けてこられたものなのです。
そんなわけで、珠洲の天然岩海苔は結構な希少品です。
実家でも「この海苔は高いんやぞ~。」と言われて育ちましたから、手に入ってもすぐには使わず、ほぼ正月の雑煮に入れて使っていました。多分、ほとんどが頂き物だったのではないかと思います。たまたま正月以降に手に入った場合は、おにぎりとか味噌汁に使っていたような気がします。
生の岩海苔は、地元では「ぼたのり」と呼ばれていて、日持ちがしないため、地元でも入手困難です。実家で食べた岩海苔は、ほとんどが乾燥させたものでした。
記憶の中では、母は乾燥したものも「ぼたのり」と呼んでいた気がしますが、どうやら本来は生のものを指すようです。
岩海苔を乾燥させるときは、丸く平らにして、天日で干します。乾燥が終わったら、数枚を紙の帯でまとめて出荷されましたが、今はどうなんでしょうね。プラスチックの袋に入ってないとイヤという人も多いでしょうね。私は、昔のままのほうが風情があって良いと思いますが。
この乾燥した丸い岩海苔ですが、いわゆる普通の海苔とは違ってかなり厚みがあって、指でつまむとふかふかしています。
味や香りはどうかと言うと、一言で言うと「濃い」ですね。
鮮烈な磯の香りがします。海苔の味も、他で味わった岩海苔よりもしっかりしています。
乾燥岩海苔は、スーパーで売られている焼き海苔とは違ってただ天日で干しただけなので、焼海苔ではありません。使うときに軽く炙ってやると、より香りが引き立ちます。
この季節に能登へ訪れる方は、運がよければ珠洲の天然岩海苔にめぐり合うことが出来るかもしれませんね。
残念なことに、能登も過疎化と高齢化がかなり進んでいます。そのうえ岩海苔取りは危険な作業のため、後継者となる方もなかなかいらっしゃいません。とても残念なことですが、いずれ珠洲の天然岩のり取りは途絶えてしまうのかもしれませんね。
塩が公社の専売であった時代にも、日本で唯一上げ浜式塩田を維持し続けてきた仁江海岸で珠洲の天然岩海苔は収穫されます。能登のお母さんたちに無理は言いたくありませんが、塩作りを途絶えさせなかったように、可能であれば岩海苔取りも続けていって欲しいですね。
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